無事に北岳と間ノ岳を登頂し、充実した気持ちで迎えた下山の日。
どこでお風呂に入ろうかなー、とずっと考えながら夜を過ごしていた。
予定では甲府駅から徒歩圏内の銭湯に行こうと思っていたが、
よく考えたら、今日は平日。
帰りのバスの途中にある温泉地芦安で途中下車しても、その後続のバスが広河原から満員となることは無いのではないか?
つまり芦安で途中下車して温泉に入っても、ちゃんと残りの1時間を甲府まで座って帰れるのではないか、ということ。
それに気づいた私は、甲府行き始発10時のバスに乗れるよう、朝7時にテント場をあとにした。
タイミングが悪く、有名なソフトクリームを食べられなかったことだけが残念だったが、快適なテント泊だった。
朝日を浴びてキラキラ輝く森を進む。
往路とは違い、下山は本当に楽。
豊富な南アルプスの天然水。
水が豊かなことはテント場での生活をとても快適にしてくれた。
いつもながら、“あれ?こんなに近かったっけ?”と第2、第1ベンチをクリアして、
順調に9時過ぎに広河原山荘に到着。
時間に余裕があったので山バッヂと炭酸水を買って、ザックの中を整理する。
そしてふと、芦安行きの乗合タクシーは人数揃ったら早く出発するかも?と思いたち、
インフォメーションセンターの乗り場まで移動。
すると思った通り、タクシーの運転手さんに、
声をかけてもらえた。
あと2人来れば出発できるという。
10分ほど待っていると人数がそろい、なんとバスより30分も早く広河原を出発することが出来た。
ということは、30分あれは芦安でお風呂に入ることが出来るのでは?
タクシーは崩落しやすい林道の説明などを要所にしてくれながら快調に飛ばし、
10時20分に芦安に到着した。
2日間の大汗が染み込んだウェアをマルっと脱いで急いで体を洗う。
のんびり優雅にとはいかなかったが、30分もあればスッキリサッパリと汗を流すことが出来た。
お風呂上がりにコーラを飲む余裕さえあって、
11時着の甲府行きのバスを待つ。
これは当初私が乗る予定だった10時広河原始発のバスだ。
魔法のように上手くコトが運び、ガラガラのバスに乗り込んで甲府まで向かった。
12時17分の特急かいじに乗ることが出来、万事上手く帰宅することがて来たのであった。
真昼間からビールでほろ酔いになりながら、電車の心地よい揺れに体を預けて、
膨大な写真をニマニマと見返す。
なんて最高な山旅だったのだろう!と胸の中で自慢しながら、最後まで楽しんだ。