バタバタと風がテントに吹き付ける中、20時には就寝体制をとった。
夜中1時頃お手洗いに起きたときはテント場はガスに包まれ真っ白。
有名な星空には出会えなかった。
2日目のゴールは猿倉。コースタイムは約8時間。
12時45分のバスの時間から逆算して朝4時30分にはテント場を出発したいところだったので3時30分に起床し、支度を整える。
外に出ると、ガスは晴れ、星もわずかにきらめいて見えたが、たぶん空が明るくなりはじめていたのだろう、満天の星空とはいかなかった。
予定通り4時30分白馬大池テント場をあとにする。
小屋前の雪渓から縦走路は始まっている。
空が明るくなってきたので振り返ると
期待していなかった朝焼けが広がっていた。数歩歩いたら立ち止まって写真を撮った。
15分ほど歩くと、稜線の先が見えて来た。
「あの一番高いところが白馬岳かなー」と思いながら歩く。
実は違った(笑)
時折ハイマツのトンネルのようなところを通り過ぎながら進む。
モルゲンショーが終わると
美しい天使の梯子…。
うっすらと北陸の山々が浮き上がっている。
この景色。
期待していなかっただけに本当に美しかった。
雷鳥坂で雷鳥に出会うことは出来なかったが、いよいよ稜線歩きの真骨頂を迎える。
これから歩くルートがずっと先まで見渡せる。
壮大なスケールに感動しながら先へ。
テント場をスタートして1時間。
船越の頭到着。
やはり風が強く吹いていた。
他に3人ほど登山者が登頂しそれぞれ景色を楽しんでいた。
歩いて来た道。
歩いて行く道。
ガレた石が重なる登山道だったが
斜度が緩いからか歩きやすかった。
このあたり、他に登山者が誰もいなかったので三脚を立ててセルフ写真を撮ったりして景色を満喫する。
そして花の百名山と言われるとおり、船越の頭から小蓮華岳の間は高山植物が花盛りだった。
6時36分小蓮華岳到着。
ここで朝食にしようかと思ったが、風が強かったのでもう少し先へ進むことにする。
そして私はここで目指す頂がもっと先にあることに気づいたのであった(笑)
小蓮華岳から下りながら、休憩出来そうなところはないかと探していたところ、
約30分ほど下ったところに少し窪んだハイマツの茂みがあり、
そこで朝食をとることに。
風も避けられていいポイントだった。
この先は植生が変わり石の露出したガレた登山道となった。
そして斜面はキツい(笑)
そのあたりになると逆方面から来る登山者とたくさんすれ違った。
7時30分三国境到着。
ここの斜面には高山植物の女王コマクサが群生していた。
雪倉岳を見守るコマクサ。
さあ、あと1時間ほどで山頂だ。
しかしここから登山道は少し手強くなる。
登っては次々にあわられるピーク。
ザックの重さがだんだんと負担になってくる。
でも足を動かし続けていれば必ず到着するところが登山の良いところ。
いよいよ憧れのビクトリーロードにたどり着いた。
それまで何度も雲に見え隠れしていたので、こうして一望出来ることに感動。
コースタイム通り着くかな…と思いながら踏み締めて歩く。
ツクモグサから勇気をもらい、
8時23分山頂到着!
しかし雲の中(笑)
まあ、ここまでのルートで絶景は堪能していたので、
サクッと写真を撮り白馬山荘へ向かう。
すると!
山頂直下で嬉しい出会い!
3羽のヒナを連れた雷鳥ファミリーにやっと会うことが出来た。
ラッキー♥️
松沢貞逸翁のレリーフに挨拶をし、
8時45分
白馬山荘スカイプラザに到着。
山荘の中のお手洗いを拝借し、しばし休憩。
汗と強風で髪の毛がピンピン。
ここからヘルメットを装着することに。
スカイプラザの喫茶はもう朝の部がクローズし、売店のみの営業だったので、バッヂを購入。
さあ、後半戦スタートだ。
身支度を整えて出発する。
山荘から頂上宿舎に向けて下っていたところ、
分岐のはるか向こうに劔岳!
もう、こんなに恵まれた白馬岳登山は滅多にないでしょう!
本当に近くに頂上宿舎はあって、
従業員の方がのんびりしていた。
テント泊をするならこちらだそうだ。
ここから大雪渓へ向けて急斜面を下る。
谷筋に残る雪渓が溶けてザーザーと沢になっている。
歩きやすく木段などが整備されていたが、テン泊装備を背負ってガシガシ下るわけにはいかず、足を労わりながら下りていく。
10時、避難小屋到着。
小雪渓近くまで来た。
約100メートルほど、雪渓を横切って反対側に渡る。
歩きやすいように斜面を切ってあるが、ご覧の斜度。
念のためにアイゼンを装着する。
途中、すれ違えるように広く切られたところが2か所ほどあったが、反対側の登山者と譲り合いながら無事に通過することが出来た。
ここから大雪渓へはまだまだガレ場を下る。
これが歩きづらく、かなり手間取ってしまった。
10時45分大雪渓入口(出口?)到着。
ここでは、長い大雪渓を登り終えた人たちが何人も休憩していた。
雪渓途中では落石事故の恐れがあるため休憩出来ないので、ここがやっと腰を下ろせる場所なのだ。
そんなお疲れの皆さんを横目に、私はアイゼンを装着し、大雪渓へ入る。
正直、12時45分のバスに間に合うかどうか微妙な時間になり焦りが出てきた。
初めて歩く大雪渓。
予習した通り一面に両拳くらいの石が転がり、もっと広い間隔で直径1メートル以上の岩も不自然に転がっている。
これが音もなく転げ落ちてくるそうだ。
そりゃ当たったら命は無い。
いつも流している音楽もここでは止めて、神経を集中させて下っていく。
雪は気温とこのところの雨により柔らかくなり、アイゼンが効かないところもあった。
これ、登るのホント嫌だわぁ!
でも、私より先輩のお年の方々がにこやかに一列になって登っておられるのを見て、登らなければわからない達成感や喜びがあるのだろうな、と思った。
11時45分、なんとか大雪渓をクリア。
バスの時間まであと1時間。
間に合うか?
ドキドキしながら早足で歩く。
しかし、木道があったり段差の大きな階段があったりなかなか思うように進めない。
足の裏もだいぶ痛くなってきた。
すると15分ほどで今年は営業していない白馬尻小屋に到着。(トイレは利用可)
美味しそうなお水が出ていたので思わず補給する。
ここで現在位置をアプリで確かめるが、ネット環境が悪くよくわからない。
標高を見たらまだ1500メートルあるので、焦る気持ちを抑えながら急いで進む。
12時20分林道に出る。
しかしあと25分でつけるだろうか。
やるだけやってみよう、と私はここから足を早め、走ったり歩いたりしながら急いだ。
しかし思いの外林道は長く、
猿倉、と文字が見えたころはすでに40分をさしていた。
45分まで!と思いながら走ると山小屋の屋根とバスが見えた。
ここで「乗りまーす!」とか大声で言ったら、バスは待ってくれただろうか…。
結論、バスは私の目の前でブロロロロ…と発車してしまったのだった。
頂上宿舎からずっと気を張りながら休むことなく歩いて来て、ラストにランニング(笑)
ハァハァと息を整えながら気持ちを切り替え、誰もいないバス乗り場で荷物を整理し、
猿倉山荘でお昼ご飯をいただくことにした。
そして、営業していない白馬尻小屋のTシャツが激安価格で販売していたので購入。
お腹が落ち着き、びしょびしょのTシャツを早速着替えて、ロータリーに待機していたタクシーで送ってもらい、(3400円也)
15時15分発の新宿行き高速バスでのんびり帰宅したのであった。