秋雨前線の影響で雨の週末が続く9月。
2回目の三連休であるこの日も、なんとか歩けそうなのは真ん中の日曜日だけという予報だった。
しかし、楽天家なのか、いつものテン泊メンバーは「翌日晴れるならいこうよ。」ということで、挑戦したのは谷川馬蹄形縦走。
雑誌やブログなどでその遥かな稜線の写真を見るにつけ、憧れてはいたが、
・テン泊出来る場所が少ない
・水場が少ない
・トイレが少ない
などなどの理由から、自分には踏破するスキルが足りないのではないか、と思っていた。
しかし、このところ続いたテン泊登山で、なんとなく勝手にスキルアップしたような気がして、つい、提案してしまったのである。
そして、不安は的中したのであった。
夜中、車を出してくれる茨城の友人の最寄駅で集合。
そこから圏央道、関越道とひた走り、3時過ぎに土合橋の駐車場に到着。
今回私たちが選んだのは登りでロープウェイを利用する時計周りのコース。
ロープウェイの始発まで車で仮眠する。
5時半に起きて支度を整え、ロープウェイの駅まで歩く。
途中の慰霊碑の広場で手を合わせる。
そこで私は、車に置いてくるべきお風呂セットを持ってきてしまったことに気づく。
車に戻ろうか考えたが、
ロープウェイのターミナルにコインロッカーがあるはずだ、ということで、
そこに預けることにした。
ターミナルの中で朝ごはんを食べて、始発で天神平まで上がる。
すでにゴンドラに雨粒が付いている。
終点で降りて、飲み水ではない、と記されている靴洗い場の水を補給する。
あくまでも自己責任で。
どうやら下の駅に水を補給出来るところがあったようだが、わからなかった。
さらに上まで上がるリフトも動き出した。
その先に谷川岳の双耳峰がかろうじて見えている。
リフトには乗らず、その脇の道から7時38分登山を開始する。
歩きやすい道を、重さを体になじませながら進む。
約1時間後、熊穴沢避難小屋到着。小屋の中で休憩。
いくつかのグループが入れ替わり立ち代りしていたが、出戻ってカッパを着直すグループが出てきた。
とうとう雨雲に見つかってしまったらしい(笑)
私たちもカッパを着ることにした。
ここからは鎖場も出てきて道が険しくなる。
雨風もひどくなり、沢のようになった山道を滑らないように慎重に進む。
撥水効果がほとんど無くなった私のカッパは、すでに中までビショビショになってしまった。
10時15分、肩の小屋到着。
小屋の中は雨宿りをする人たちでいっぱい。
私たちは小屋の上がりかまちのようなところで休憩させてもらうことにする。
カッパを脱ぐと体から湯気が出ている。
ぺちゃんこのコロッケパンを頬張る。
お気に入りのおせんべいをバリバリと食べる。
体が落ち着いて来た。
35分間休憩し、濡れたインナーに濡れたカッパを着て、低体温症になりそうだ、と思いながら、暴風雨の中山頂へ向けて出発。
10時55分トマの耳、
11時15分オキの耳登頂。
大きな雨粒が体を叩きつける。
証拠写真だけなんとか収めて、次の場所へ進む。
冨士浅間神社奥の院でお参りも忘れずに。
ここからは本来なら切り立った一ノ倉の岩場や、主稜縦走路が見渡せる尾根歩きなのだが、
蛇紋岩で転倒しないように歩くので必死。
12時45分、避難小屋のある一ノ倉岳到着。
普段なら立ち寄らない避難小屋だが、少しでも雨をしのぎたく、
ピッチピチに肩を寄せ合って休憩。
雨はやっぱり降らない方がいい(笑)。
15分ほど歩いて茂倉岳を通過する。
さて、ここからは熊笹の稜線を下って行く。
ところが、これがまた曲者で。
刈られたばかりの熊笹が足元の石ころなどを覆い隠してしまい、またこの雨で非常に滑るのである。
本来なら見通しの良い下り坂のはずが、ずいぶんとへっぴり腰の動きで時間がかかってしまった。
そして、ここからが今日一番の難所、武能岳への急登である。
コースタイム1時間40分。
視界の悪い中、時折吹き付ける強風に、今夜の宿はヒュッテに泊まりたいね、などと励ましながらひたすら滑る斜面と向き合う。
視界が効かないので、斜面にぶつかるたびに“ここかな?ここかな?”と思うのだけれど、何回もアップダウンを繰り返して、
やっとの事で15時35分武能岳に到着。
ここまで来れば、あとは下れば目的地の蓬ヒュッテだ。
熊笹の道を慎重に進む。
16時12分、蓬ヒュッテ到着。
ゴール!
テン場にはすでに2張テントが張られている。
雨こそ上がっていたものの、ダメ元でご主人に小屋に泊まれないか聞いてみたものの、剣もほろろに返された(^^;;
蓬ヒュッテは扉を開けるとすぐお手洗い、そして宿泊部分は真ん中が幅50センチくらいの通路、両側が2段になって宿泊するスペースとなっている。
土間が狭いので今日のようにドロドロになるコンディションだと、他にお客さんがカッパを脱いでいたりすると身動きが取れなくなってしまう。
しかし、
雨風をしのげるのは羨ましかった。
気を取り直してテント場に今夜の寝床を作る。
風は強いが雨が止んでいるうちに、友人と2人でサクッと立てる。
芝生のような地面に、ペグが気持ちよく刺さる。
強風に耐えられるよう、基本に忠実に展張する。
こんな薄っぺらい布でも、中に入れば天国!
今夜は2つのテントでそれぞれ夕食を摂って休むこととした。
続く。