緊急事態宣言によりステイホームを強いられ、爆発しそうな山への欲望を、どうしたら晴らせるだろうかと日々スマホ検索していた2月下旬。
私のアンテナに引っかかったのはこの山域だった。
ちょうど『孤高の人』を読んだところだったのと、ルート上にあるホテルが年度末で閉鎖されてしまう、ということが後押しになり、気が付くと3月最後の週末の夜行バスとホテルの宿泊予約を入れていた。
水曜日のミツバ岳登山で体力と装備の確認を済ませ、
予定通り旅は始まった。
金曜日、東京22時50分発の大阪行夜行バスに乗り込む。
素泊まりのため夕食に用意したレトルト食品以外の食料や水はスタート地点である山陽本線塩屋駅のコンビニで仕入れることにし、荷物はいつもの30Lのリュックに収まった。
朝6時20分、予定より早く大阪に着く。
7時06分発の快速に乗れれば8時過ぎにはスタート出来るだろう。
コンビニで水を2本、大きなおにぎり2個、補助食として菓子パンを2個購入。
小さな商店街を抜けて、街中に入ると案内版などが少なく不安になるが、スマホアプリを駆使し住宅街の坂道に入る手前で体制を整える。
坂のない町に住む私にとって驚異的な急斜面の住宅地を登っていくと、どうやら登山ルートに入ったようだ。
舗装路はすぐに登山道へと変わっていった。
最初に目指すのは旗振山。
お米の相場を知らせるために旗を振った、という謂れのある山。
8時30分ともなれば気持ちの良い朝の散歩をする人々がたくさん。
ご近所さんなのか、自分の装備が過剰に見えるくらい軽装の方々が軽やかに歩いていた。
20分ほど歩くと人工物が。
ふもとからロープウェイも延びている山上の遊園地のようだ。
その先に旗振小屋。
春先の霞んだ空気の先に明石海峡大橋がちゃんと見えた。
さて、次は鉢伏山。
道標の通りに進む。山頂は気持ち良い桜の広場。
公園内をおにぎりを頬ばりながら歩く。
須磨裏山上遊園の中をやや迷いつつ旗振小屋まで戻って、次の鉄拐山へ。
左手に住宅地、右手に海、という地図でイメージした通りの稜線を気持ちよく歩く。
9時30分鉄拐山到着。
海側に広がる景色に圧倒される。
ベンチに座ってゆっくりコーヒーを飲んでいる人を見て、心から羨ましく思う。
私は、と言えばまだまだ序盤。
歩けるうちに先へ進まないとならない。
次の栂尾山(とがのおさん)へ向けて止まらずに進む。
ここから、激しいアップダウンが始まる。
まずは高倉台。
このオブジェのように、埋立地開発のため削られて住宅地となっている街を通過する。
団地内に公園の水飲み場があったので、念のため半分くらい減ったペットボトルを満タンにする。
400段ほどあるのかな?この階段がキツい。
踊り場ごとに立ち止まってしまう。
でも階段が終わるとすぐ
栂尾山頂。10時20分。
この辺りから足の小指が痛くなってきた。下りの時に靴に当たって痛む。
靴紐を調整しながら先へ。
次の横尾山へはすぐに着いた。
下りながら、登山道の土質が変わったな、と思ったら、
馬の背到着。
突然現れる荒々しい岩肌に緊張が走る。
ルートを間違えなければ危険なことは無いので、短いけれど慎重に。
全山縦走前半のハイライトのひとつを無事にクリアし、次の目的地、高取山へと向かう。
地図を広げて確認すると、この先が住宅地を4キロほど歩くキモとなっているらしい。
拡大化され詳しく載っている地図を片手に、馬の背からの下山道を歩いた。
→続く