1日目の夜は見事な星空を拝むことが出来た。
寒さも忘れて満天の空を見上げる。
口も開きっぱなし(笑)。
数時間後には歩いているであろうこの先の稜線に期待を膨らませながらシュラフに潜り込んだ。
起床は3時45分。
メンバーの一人が体調不良を訴えたため、
2人でのアタックとなった。
時間が少し押してしまったが、4時20分硫黄岳に向けて山荘を出発。
ヘッデンは歩き始めて数分で必要無くなった。
朝陽はこのそびえる山並みの向こうから上がっている。
その光を浴びて、阿弥陀岳も目を覚ましたようだ。
標高が上がるごとに樹木が低くなり、歩くこと約1時間。
分岐点でもある赤岩の頭に到着。
すると!
まだ6時前の澄んだ空気が、こんなにも視界を広く遠くまで見せてくれた。
歓声しか上がらない(笑)。
本では見慣れている(笑)北アルプスの山々に、
「本当にあーいう形なんだー。」と子供のように感動。
ここまでだけでも登ってきた甲斐があったというもの。
しかし我々の進むべき道もあんなにも美しく照らされている。
私たちは朝食休憩を取るために硫黄岳へ。
お湯を沸かしながら、爆裂火口を撮影。
いつもより少し長めに置いたのにやや芯が残った感じのヌードルをいただきながら、この場所の高さを実感する(笑)。
朝陽が眩しい。
均等に並ぶケルン(ガイドブックの説明より1個多い8個(笑))に導かれながら、
硫黄岳山荘の高山植物園へと向かう。
稜線の東側、野辺山あたりの景色も最高だ。
残念ながら、こちらのお花はまだ準備中だったようだ。
私たちはさらにこの先のガレた斜面に向かった。
足元は富士山のような、粗い砂の道。
一歩一歩かみしめながら進む。
ここで、山では滅多に使わない(笑)サングラスをかける。
名前が付いているけれど道標はない広場で2回目の日焼け止めクリームを塗る。
さあ、ここからが難易度の高い横岳へのアップダウンだ。
ストックをしまったり出したりを繰り返しながら、険しい岩肌を進む。
キバナシャクナゲはかなり見かけた。
高さに恐怖は感じないタイプだが、さすがに“ココでミスをしたら真っ逆さま”というシチュエーションは体をこわばらせる。
ペースを落とし慎重に慎重に。
あのトンガリのてっぺんまで行くの?という素朴な疑問は、
直下に備え付けられた赤い梯子を見つけて驚きに変わる。
おお。
これが横岳か。
緊張の分さらに達成感も大きい横岳登頂。
こちらからも360度の絶景が広がる。
そして昨日登頂した赤岳も眼前に迫ってくる。
隣には穏やかな表情の富士山。
下山する地蔵尾根まで、きわどいアップダウンが続く。
ギリギリの高度感と足元の滑りやすさに何度も肝を冷やす。
そんな中、ほっこり現れたツクモグサの群生。
癒された。
ここでボトルに水を補給し、地蔵の頭まで一気に頑張るぞ!
予定より30分ほどオーバーして到着。
菓子パンを貪る。
「写真撮るのに時間取られちゃったね(笑)」とお互い慰め合いながら、
地蔵尾根の急登を滑るように(滑らないように)降りてゆく。
階段といえば文三郎尾根のマムート階段が有名だが、
こちら地蔵尾根も、何百年も昔の人が一つひとつ担ぎ上げて積み重ねて下さった石の階段があり、
これが実に歩きやすい。
所々土とともに流れてしまった区間もあるのだが、おかげで40分ほどで行者小屋に到着。
見慣れた光景にやっと気持ちがほぐれる。
さあ、赤岳鉱泉まであともう一息!
予定時間を45分上回ってしまったが、無事テント場に帰還。
同行者の体調も回復したようだ。
「まあこの天気だから時間には絶対帰って来ないだろ~な、と思ったよ(笑)。」
写真を撮りまくってバッテリーが切れそうなカメラに急いでモバイルバッテリーを繋ぎ、
撮れたての絶景写真を見せながら、
うおー!と地面に腰を下ろした。