その山の名前を私は知らなかった。
新年登りはじめということで登る山を決めて計画していたところ、山友から急遽行けるという連絡が。
恒例のあのお山ではなく、もう少しアクセスのしやすい場所で選考しなおし、絶景ということでネットに上がっていたのが
東武東上線小川町駅からバスでアクセスするこちらだった。
標高はそれほど高くない。
そして小川町駅近くには温泉もある。
これは新年一発目の山歩きにふさわしいだろう、と早速バスの時刻表を調べ、それに合わせて駅で友人と待ち合わせをすることに。
今日も気持ちよく歩けそうだ。
イーグルバス9時12分発白石車庫行きに乗り、橋場バス停で下車。
登山口のある粥新田峠まで車道と山道を交互に進んで行く。
最初の入口を間違えなければ、そこから先は案内板がたくさんあるので迷うことはない。
30分くらい歩いたところの無人販売所でみかんを購入。
その昔、江戸と秩父をつなぐ道だったということを忍ばせるお地蔵さまに手を合わせ、
そこからすぐに登山口である“粥新田峠”に到着。
でも、ここまでの道のりも十分里山の雰囲気を味わえる山道だった。
ここまで50分。
設置されているポストに登山届を預け、休憩せずに先に進む。
ここからは約30分で山頂らしい。
雨で流れたような急な階段が目の前にそそり立ち、一瞬ひるんだが(笑)、
近づくとちゃんと巻道もあったりしてじんわり優しいお山であることを感じる。
葉の落ちた樹木の間から、はるか遠くにキレイな山々が見渡せた。
山頂はもうすぐ。
午前11時20分、登頂!
噂通り北西の景色が最高に素晴らしい。
誰もいないうちに写真を撮りまくる。
榛名山の特徴的な姿、雪化粧が美しい谷川岳、
少し左に目を向ければ、ギザギザした両神山の肩越しに八ヶ岳。
しかし、反対側の都心方面は樹木があるので、
スカイツリーや富士山は出会うことはなかった。
さて。
途中道を譲ってもらったパーティーの皆さんが続々と集まって来た。
思ったより広くなく、まだ日差しも当たらないこの山頂でのランチ休憩は変更し、
帰りのバスの時間も気にしつつ、定峰峠に向けて先を進むことにする。
山頂直下の急斜面を過ぎると尾根道の左手に有刺鉄線。
ここが秩父高原牧場のようだ。
黄金色の草原がキラキラとさざめいて美しい。
明るくて歩きやすい道を気持ちよく進む。
夏なら鬱蒼としたトンネルみたいなんだろうな、と想像する。
旧定峰峠に到着。
本当はここが峠だったそうだが、車道が開通したことでそちらに名前を奪われてしまい、
こちらには“旧”という文字がつけられてしまったそうである。
時刻はちょうど12時。
お腹も空いて来たので、適当な場所を探してランチ休憩。
絶景ポイントというわけではないが、
山の中に自分が身を置いていることを実感しながら食べるランチはいつも素材以上のエネルギーを与えてくれる。
しかし、やはり今は1月。
温かいスープもすぐに冷め、身体中が冷え切ってしまった。
早々に切り上げ、バスの時刻に遅れないよう先を進む。
午後1時過ぎに定峰峠到着。
ドライブインらしき廃墟が残っていた。
こここらまた、車道とショートカットする山道を交互に下りながら白石車庫バス停を目指す。
目標は13時36分のバス。
営業中のうどん屋さんに後ろ髪を引かれながら、無事白石車庫バス停に到着。
バスも停まっている。
しかし!
バス停の時刻表を見ると13時36分の時間が無い。
停まっていたバスは14時02分発とのこと。
若干計算が狂ってしまったが、ゆっくりお手洗いも済ませ、
日なたで写真の整理などをしながらバスの出発を待った。
そして、14時半過ぎに小川町駅に戻り、そこから徒歩で10分ほどの
『花和楽の湯』という日帰り温泉に向かう。
駅から近いということもあり、とても賑わっていた。
混んでいたのでレストランへは寄らず、
帰りにコンビニでビールを買って、駅までの道すがら乾杯したのであった。