モモジリの旅

一回一回が大切な思い出

2018.11.18浅間山

今年も残すところあと1ヶ月半。
低山は短い秋を迎えている。
初冠雪のニュースも目にする中、雪山になる前に登れないだろうか、と狙ったのはこちら。

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前日の夜予定があったため、出発は早朝になってしまい、スタート時間の遅れが気になるところだったが、
今回に限って言えば、ちょうど天気が快方に向かうタイミングだったので問題なし。

カラマツの紅葉はすでに終わったとはいえ、駐車場が空いているか不安だったので、
台数の多い高峰ビジターセンターを目指して進む。
茨城の友人を拾って朝5時過ぎ、高速に乗った。


行きたかったとは言え、あまり詳しくなかった浅間山の登山コースについて、友人と話す。

「草すべりという区間があって、それは外輪山を一度グッと300メートルくらい下る道なんだって。
帰りに登るのはきついかもねー。」


それが頭にあったので、
小諸で高速を降り、目的地までの山の中を走りながら、
天狗温泉浅間山荘への分岐を見つけた時、

「ダメ元でこっち行ってみる?」と
ハンドルを切った。
未舗装だが整地された道は車高の低い我が家の車でも難なく進めた。

午前8時過ぎ、車は浅間山荘に到着。
案の定、山荘前の駐車場は満車。

高峰ビジターセンターへ向かおうと車を切り返そうとしたら、宿のご主人が出て来て、

「この下に停められます。」と教えてくれた。
代金500円を支払い、一段下ったところへ車を停める。
ここは、本来なら乗馬用の広場だったらしい。

とにかく、これで急な難関草すべりを通らなくて済んだ。

朝ごはんを食べて準備する。

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宿の右手にあるお手洗いをお借りし、鳥居をくぐり、登山届を書き直して8時30分スタート。


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広い平坦な道を歩いて行くと案内板があり、道は少しずつ傾斜を増していく。

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右手に流れる沢は色が濁っている。
やはり活火山だからかな、などと考えているうちに一の鳥居に到着。

ここから、直接二の鳥居に向かう道と不動の滝を経る道とに分かれる。
私たちはマイナスイオンを浴びるため(笑)、滝のコースを選択。
沢の音を聞きながら進んでいく。

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歩きやすさを感じていると15分ほどで不動の滝に到着。

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滝ツボの近くにはしぶきで出来た氷柱も発見。
冬もすぐそこまで来ているのだなー。

マイナスイオンとパワーをしっかり充電し、先を進む。
滝ツボから少し登ると二の鳥居に到着。

ここは、今年の9月の台風で鳥居が倒壊してしまったそうだ。
痛々しい姿のまま放置されている。
(カンパ募集中でした。)

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この辺りで登山をスタートして1時間ほど。
全然疲れていなかった(笑)ので、休憩せずに先へ。
ここからは今までよりも角度のある斜面をツヅラで登っていく。

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葉の落ちた樹々の隙間から、外輪山の頂上が見えてきた。
白く霧氷が付いているのがわかる。


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空が近くなり、カモシカ平という外輪山に囲まれた草原を過ぎると
硫黄の匂いがして活火山らしい場所に出た。


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滑らないよう注意して進むと、スタートして約2時間で火山の観察施設、“火山館”に到着だ。

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日当たりの良い広場やバルコニーで何人もの人が休憩をしていた。

私たちもここで荷を下ろし、補給休憩をとる。
ここにはお手洗いと水場が整備されている。

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自宅から持ってきた水道水をここで入れ替える。
無味無臭で冷たくて美味しい。


20分ほど休むと体も冷えてきた。
防寒仕様の手袋に替えて、ヘルメットを被り先へ進む。

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火山館からほどなく、湯の平分岐に到着。
警戒レベルが2だったときはここから黒斑山へ登るしかなかった。
ここが“草すべり”からの合流地点である。

外輪山の端っこ、“トーミの頭”を見上げるたび、「選ばなくてよかったー(笑)」と自嘲する。


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いつの間にかカラマツ林の中をじわじわと登っていた私たち。
樹林帯からふと抜けると、


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ジャジャーン!
見覚えのある浅間山の姿が!

この風景が見たかった、と強く思う。
雨が多い私たちの山行だが、
やはり見えないより見えた方が良いに決まっている。

「でも山頂は遠いねー(笑)」

そのまま火山のがれた道を、富士山を思い出しながら登って行った。


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山肌を巻きながらまっすぐ登って行く。
私たちはいつの間にか美しい霧氷の中にいた。

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湯の平から1時間20分。
見上げていた外輪山よりも高い場所まで来ると

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いわゆる“お鉢”というか、てっぺん(の入口)までたどり着いた。

ロープが張られ、立入禁止区域が示されている。
目指す前掛山はまだ先。

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シェルターの中にザックをデポして、
山頂まであと一息。


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さすがに2500メートルとなると、雲も切れ間なく流れてくる。
風もかなり強い。
あっという間に指先は寒え、痛み出す。

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12時35分、青空が見えているうちに山頂タッチ。

ここまで来ると、立入禁止の本当の火口が少しだけ見える。
水蒸気も未だ上がっている。


しかし、寒い!
ファイントラックのドライレイヤーのおかげで、汗冷えは避けられたが、間違いなく氷点下の中、一目散にシェルターまで降りる。

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シェルターには先客がいたので、外の大きな岩の陰でお昼ごはんを食べる。
山頂からわずかに下っただけで風も弱くなり、日差しの温もりを感じられた。

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しかし、持参したお湯で作るカップラーメンはすぐ冷めてゆく(笑)。

それでも温度のあるものを食べられる幸せを感じながらお互いを称えあう。

13時30分、下山開始。
もう登ってくる人はほとんどいない。

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ガレ場のスリップに気をつけながらテンポよく標高を下げて行く。

30分ほどでカラマツ林まで下りて来ると、
霧氷はすでに溶けていた。

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外輪山に付けられた“Jバンド”ってどういう意味なのだろう、と話しながら、午後の日差しに照らされる草紅葉の中を歩く。

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同じ道なのに、違う景色に見えてまた感動。

火山館でお手洗いを拝借し、駐車場まで戻る。
帰りは滝に寄らず直接一の鳥居に向かうコースを歩いた。

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15時50分、駐車場到着。
朝はいなかったお馬さんたちが夕日に照らされていた。

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標高差およそ1000メートル、コース距離約15キロという本日の登山だったが、
樹林帯から沢と滝に草原、活火山のガレ場、そして絶景と、
山歩きの魅力を全て網羅したかのようなこの山の懐の深さに、すっかり魅了されてしまった。

次に来るときは、テントで一泊して、
外輪山の稜線を歩きたいな、と思いながら渋滞の関越道で帰路についた。