以前一緒に仕事をしていた人から連絡が入り、もう1人の仕事仲間と3人で山登りに行けることになった。
彼は春から秋にかけて北アルプスをメインに登山をする人で、基本的に冬はオフとのことだったが、
私が近場の低山を楽しんでいると話すと興味を持ってくれたようだった。
最初候補に上がったのは、
御岳山→大岳山→奥多摩駅(もえぎの湯)
という、私の“年明け山始め”ルートだった。
しかし、紅葉を楽しむラストチャンス!と宣伝されていたこのエリアで、温泉まで楽しむとなると、
混雑は避けられない。
しかも、彼はランチに、買ったばかりのメスティンでお米を炊きたい、とのこと。
◎長く歩く
◎山ランチを楽しむ
◎温泉を楽しむ
これらは、私の中では日帰りで成立させるのはなかなか難しいことだったので、
妥協点を探り、
“温泉はやめよう”という結論になった。
となると、特に御岳山エリアにこだわることもなくなったので、私は
ヤビツ峠からの丹沢表尾根コースを提案した。
だつて、冬型の気圧配置で最高の眺望が期待できそうだったから!!!
しかも、ここは私が右膝の前十字靭帯を断裂してしまった因縁の山。
今年中には絶対に歩きたいと思っていたコースだった。
実況見分(笑)の立ち合いを提案すると2人は快くノッてくれ、行き先は表尾根からの塔ノ岳へ。
前置きが長くなったが、こうして私たちは朝7時30分に小田急線秦野駅に集合した。
予想通りの大行列。
臨時便が出るだろうから、そんなに心配はしていなかったのだけれど…。
結局並び始めてから乗車するまで50分ほど待たされた。
でもバスの運転手さんのこなれた運転で、ヤビツ峠に着いたのは8時45分。
支度をして9時に歩き始める。
キラキラと朝日が眩しく、雲一つない青空。
約20分ほど舗装路を歩き、富士見台に到着。
ヤビツ峠のお手洗いが混んでいたので、登山口の富士見台で入ろう、と思っていたのだが、
なんとここでも台風の被害が。
私は我慢できる状態だったけど、他にもここを当てにしているらしい登山者がいたので、大丈夫だったか気になるところ。
気を取り直しでここからが登山スタート。
まず二ノ塔を目指して高度を上げていく。
週の半ばに降った雪はこのところの冷え込みで溶けずに残っていた。
1時間ほどしっかり汗をかいて、二ノ塔到着。
青空に富士山がくっきりと。
ここよりも次の三ノ塔の方が広くて眺望が良いことを伝えて先へ進む
木道に積もった雪に足を滑らさないよう
気をつけて。
アップダウンの続く表尾根、下りの斜面か北向きになるのでこの場所以外でも雪が残っていた。
途中、きっと大雨で流されたのだろう、かなり両側が削られてしまった箇所があった。
一番狭いところで30センチくらいだったのではないかと思う。
無意識だとストックを何もないところについてしまいそうになり、急に不安になる(笑)
登り返して三ノ塔到着。
去年工事中だった避難小屋もすっかり完成。
反対側にはお手洗いもあり、拝借する。
このお手洗いは冬季は使用禁止になるので、ギリギリ使用できてよかった。
空気も澄み、これから歩く尾根筋くっきり見える。
あまりはっきり見え過ぎて、塔ノ岳尊仏山荘がとても近くに感じられた。
時刻は11時になろうとしていた。
朝のバス待ちから予定より時間が押しているが先へ進む。
こんな時こそ手を合わせて。
標高も上がり、雪がたくさん残っているようになった。
塔ノ岳方面から来る人たちも、「凍っているから気をつけて」と言っていた。
するとまもなく渋滞が始まった。
これは、足元の雪の凍結による千鳥足渋滞だった。
そこにたどり着くまでも凍った箇所はいくつかあったが、ここは斜度と段差もあり、私はお守りかわりに持参した軽アイゼンを装着することに。
油断するのか、皆同じところで滑っている。
足元が整えば、遅れは簡単に取り戻せて、私はガシガシと先へ進んだ。
11時45分、青い三角屋根が可愛い烏尾山に到着。
ここで同行者とこの先について計画の変更を検討する。
いつものペースだと、この時間には大日山荘付近で休憩をしているはずで、それでも大倉バス停に下山するのは15時くらいになってしまう。
これから休憩をとり塔ノ岳に到着するには、14時を回ってしまうのではないか、ということで、
ここはさっぱり塔ノ岳を諦めて、
この烏尾山でランチを楽しみ、政次郎尾根で戸川まで下りよう、と決まった。
そうとなったらランチを楽しもう!と、同行者は買ったばかりのメスティンでお米を炊き始めた(^^)
もう一人の同行者は、冷凍鍋焼きうどんを火にかける。
どうやら溶けてしまって汁がリュック の中でこぼれてしまったらしい💦
私も久しぶりにコッヘルで野菜たっぷり味噌ラーメンを作る。
なんと言ってもこのお天気!
お料理も三割増で美味しく感じられた。
北アルプス好きな彼は、締めにミル挽きのコーヒーまで振舞ってくれて。
ピークハントしなくてもこんなに楽しめる登山って素敵!と感激しまくりだった。
13時15分、休憩を終えて政次郎尾根分岐に向けて出発。
ここから先が私の現場検証だ。
2カ所目の鎖場…。
おや?私が怪我をした時より、鎖が増えている気がする。
この岩場を、鎖を使わず前向きに降りながら、右足を着地したとき捻ったらしかった。
油断禁物、と言う言葉を改めて胸に刻んだ。
さらに自分でも驚いたことに、
ここから政次郎尾根分岐まで、結構アップダウンがあったのだ。
確かにそぞろ歩きで転びながら休みながら1時間くらいかかったと思うが、
その後の右膝の不自由さを思うと、ひたすら驚くばかりである。
政次郎尾根も結構な急斜面だった。
ここで休んだな、とかここで転んだな、とか思い出しながら、約90分かけて戸沢休憩所に到着。
あの時も、ここでなんとか下山出来たことを喜んだなあ、と思い出す。
さて、実はここからまだまだ先があるのだ。
確かにここまで車で入って来られるが、私たちは林道を歩いて大倉バス停までいかなければならない。
時間にして約80分。
時刻は15時45分になっていた。
よく冷やされた作治小屋のビールにも目をくれず(笑)、
暮れてゆく山の道を黙々と歩いた。
たどり着く頃にはすっかり日没ってしまった。
それでも大倉バス停には下山して来た同志が大勢バスを待っていた。
靴の泥を落としたり、着替えたりして一息ついたあと、
自分の中でトラウマとなりつつあった表尾根を、再び訪れることができた喜びを噛みしめた。
また来るぞ!と誓いながらも、大勢の登山者を見て
やっぱり丹沢は侮れないな、と思ったのであった。