モモジリの旅

一回一回が大切な思い出

2022.10.11-12小屋泊鹿島槍ケ岳

この山を知ったのは南八ヶ岳を縦走した時だった。

はるか彼方にキレイな双耳峰のシルエットが見え、調べるとどうやら鹿島槍ケ岳という百名山であるらしい。

その時一緒に見た友人と、「いつか一緒に登ろうね」と約束をした。

 

あれから6年。

近場の低山からアルプスの有名ドコロまで沢山の山々を登って来たけれど、この山は友人と行くのだと思ってとっておいていた。

 

それがなぜか今年、友人はひょっこり急に取れた休暇で先に登ってしまった。

一応誘われたけれどあまりに急で、私の予定が合わなかったのだった。

一緒に行くことに意味があると思っていたけれど、それは私だけのこだわりだったらしい。

 

「キツかったよ。でもあの稜線を見た時感動して涙が出てきた」

「一緒に行きたかったよ。行く時は誘ってね。」

 

そんな言葉を聞いても、全然沁みてこなかった。

 

そんなもんもんと鬱屈した思いを払い除けるには、やっぱりこの山を私も登るしかないだろう、と思って計画を立てたのだった。

 

 

 

週末に雨、というのが続いた9月は、思うように登山ができないうちに終わってしまい、

アルプスを取り巻く公共交通機関も縮小体制となっていた。

鹿島槍ケ岳の登山口、扇沢へは直通の夜行バスが週末(休前日)のみの運行となっていたので、当初は10月第2週に計画を立てた。

テント泊も考えたが、10月の寒さとテン場の環境(トイレから離れている)などを考慮して今回は小屋一泊でピストンすることに。

宿泊先の冷池山荘の空室状況を照らし合わせで10月9日夜行発で出発しようと思った。

 

しかし。

またしても三連休にぶつかる雨予報。

このタイミングを逃すと、もう小屋もバスも予約が取れなくなってしまう。

夜行バスでなく、新幹線などを利用するとしても、遅脚の私にはスタート時間が遅くなり小屋に着くのが遅くなってしまう。

結局諦めるしかないのか…と思っていた矢先、ふと閃いたのが

 

信濃大町駅の宿で前泊

 

という手段だった。

昼行便の高速バスと、格安のビジネス旅館なら、新幹線とそんなに変わらない値段で前泊できる。

早速旅館の空室状況を確認すると、残り1室!

勢いで予約を入れ、合わせて高速バスも予約を入れた。

冷池山荘の予約も無事取れ、これで私の鹿島槍ケ岳への旅は決行されることとなった。

 

 

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信濃大町駅到着が夜の7時を過ぎるので宿は素泊まりにし、近くの大きなスーパーで夕飯とビールを購入。

お風呂に入ってさっぱりしたあと、明日からの冒険にワクワクしながら布団に潜り込んだ。

 

翌朝そっと宿を出て徒歩3分の駅前ロータリーで扇沢行きのバスに乗る。(1390円)

 

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車中からあの特徴的な双耳峰がキレイに見えた。

登山日和だ。
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ほぼ時間通りに扇沢に到着。

破砕帯の水というのをプラティパスとペットボトル2本分補給し、

コインロッカーに明日の温泉セットを預けて7時05分登山口へ向けて歩き始める。
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約15分ほど車道を緩やかに下り、柏原新道入口に到着。

ストックを用意して山道へ。

標高差約1000メートル、コースタイム約4時間の急登の始まりだ。

 

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しかし人気のある百名山らしく登山道は整備され、ジグザグに歩いていると急登というのもそんなに気にならなかった。

黙々と足を動かし8時05分八ツ見ベンチ通過。

樹林の隙間から扇沢駅が見下ろせた。

 

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そのあと若干崩落した斜面を通過し

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8時26分ケルン到着。

ここで1回目の約5分の休憩。
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ここから斜面が緩やかになり、斜面の紅葉も見頃になってきた。

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駅見岬8時50分通過、

一枚岩9時10分通過。
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左斜め上に種池山荘!

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9時30分石畳到着。ここで2回目の休憩。
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このようにケルンから先は名前の付けられたポイントが数分おきに訪れるので歩いていて退屈しなかった。

妙高山もこうだったらよかったのに(笑))

 

道がさらになだらかになったと思ったら

9時45分水平道通過。
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9時50分包優岬通過。
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紅葉がキレイ。
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9時57分石ベンチ通過。

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10時アザミ沢通過。

そして注意書きの看板の先に崩落箇所。
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慎重に通過し、10時23分富士見坂到着。

どうやら今日は富士山が見えるようだ。


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順調に標高を上げ、10時33分最後のチェックポイント鉄砲坂通過。
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整備された階段を登り
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10時45分種池山荘到着!
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遅脚の私が予想した時間よりだいぶ早く到着することが出来、嬉しい。

 

 

この時間だと…まだあった!

6番の整理券をもらい、名物のピザを注文する。
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稜線は風がやや強く、熱々のピザはすぐに食べ頃になったが(笑)、サクサクトロトロでここまで来られたご褒美はとても美味しかった。

 

 

お手洗いを拝借し、11時15分爺ヶ岳へ向けて登山を再開する。

今日は風もあるがとても見晴らしがよかった。


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小屋からしばらくはハイマツの緩やかな道を進み、約25分ほど進むと山頂直下のガレ場となる。

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標高差1000メートルを上がって来たハムストには堪える斜面だったが、

12時15分爺ヶ岳南峰登頂。

そして、これまでガスがかかっていた憧れの双耳峰、鹿島槍ヶ岳がやっと姿を見せてくれた。
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続いて中峰へ。

 

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登り返して12時35分中峰到着。
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ぐるりとキレイな景色ぐ広がっていたが、風も強く、

休憩せずに先へ進むことに。
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爺ヶ岳北峰はルートがついてなかったので巻道を進む。

山の斜面に作られた道は小さなアップダウンを繰り返し、

冷池乗越をさらに下り
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樹林を登り返して
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13月45分冷池山荘到着。
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予定より45分早く到着でき、大満足。

チェックインして部屋に案内される。

先客がすでに1人いて、さらにこの後も1人入り、ソロの女性3人定員となった。
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夕食は17時から。

服を着替え、2階の喫茶室で今日歩いて来た爺ヶ岳の稜線を眺めながらプシュ。(800円)
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部屋に戻ってゴロゴロし、夕飯の時間。

コロナ対策のため向かい合わずにみんな窓の方を向いての席配置。

おかわりも手をあげてスタッフさんを呼ぶスタイル。
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ご飯とお味噌汁をおかわりし、部屋に戻ろうとすると、ちょうど夕焼けの時刻。

夕焼けは、テント場からが良いということだったので急いで向かう。


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雲海に埋まり、紅く燃えた西の空は、立山連峰から剱岳の精悍なシルエットを情熱的に浮かび上がらせてくれていた。

テント泊の人も絵になる。
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ここは剱岳を真正面に望める有名な絶景テント場。

噂通りの景色を堪能出来た。

しかしお手洗いのために15分ほど歩いて小屋まで行かないといけないため、自分が利用するにはハードルが高いと思った。


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手がかじかむほと冷え込んで来た。

急斜面を下って小屋へ戻る。

洗面を済ませ、翌日の荷物の整理をして、消灯前に布団に潜り込んだのであった。

 

 

続く