翌朝ちょっとしたハプニング。
3時にかけたアラームが鳴り、枕元に置いたヘッデンをつける。
…つかない⁉︎
あれ?さっきトイレに起きた時は使えたぞ?
何度もトライ、そして充電してみてもつかない。
焦る。
2日目の今日の行程は長かったので早く活動を始めないと今日中に帰れない。
そのためには絶対必要な灯り。
原因が分からず、焦りは募るばかりだったが、ふと思い立ってスマホで取説を探してみた。
すると。
何のことはない、誤作動を防ぐためダブルクリックしないとオンにならない仕組みなのだった。
それまで、指先で覚えていた動作が、急にリセットされてしまい、何度もワンクリックでつけようとしていたのである。
はぁ…。
約20分間布団の中で格闘し、予定より遅れてしまったが、
デポする荷物を置き場に置いて3時55分出発。
最初に目指すピークは布引山。
斜面に取り付く前に、緩やかなハイマツ帯を進む。
暗闇の中、写真も撮らずに進むので、予定通り5時05分山頂到着。
しかし、稜線上は冷たい風が吹き、体を休めるようなコンディションではなかったので、少し風をしのげるところでカロリーメイトジェルでさっとエネルギーを補給し、いよいよ鹿島槍ヶ岳の山頂へ。
だんだん空が白んじてきた。
目指す頂と、それにつながる一本道が浮かび上がる。
しかし、やっぱり(泣)ペースが上がらず、鹿島槍の斜面の途中で5時45分日の出を迎えた。
想像より雲が多かったが、その分美しい朝焼けが見られた。
振り返ると歩いて来た稜線が素晴らしくみわたせた。
山頂へのガレ場、ペースが上がらない中、
6時07分山頂到着!
爺ヶ岳方面
立山剱方面
富士山方面
白馬方面
強い風が吹き、のんびり休憩とはいかなかったが360度見事な眺望に感激し、写真を撮りまくる。
双耳峰の北峰へは、時間と体力の不足で今回はパス。
八峰キレットまで行かなくても結構な急下降だった。
あ、あれは火打妙高…?
景色を堪能し、10分ほどで下山を開始する。
山頂直下の急なガレ場で足を取られ尻餅をついてしまった(汗)
一番迫力がある双耳峰が見られるところはどこだろう?と降り返りながら下る。
結局、布引山あたりまで戻って来てやっと納得のいく姿を写すことが出来た。
山小屋で朝食を済ませた人たちとたくさんすれ違う。
2泊の予定だったらそんな行程だったのだろうと思う。
さっきは暗闇だったのでもう一度登り、パチリ。
登り始めたときはまだ雲海が出ていなくて、大町の夜景がキラキラ見えたあたりは、
今はすっかり雲の下。
ハイマツ帯まで下って来られると少し緊張がほどける。
でも意外とここから山小屋まで遠かった。
8時07分山小屋到着。
デポした荷物を回収し、お庭で朝ごはん。
注文したお弁当のちらし寿司をいただく。
20分ほど休憩し、これからゴールである扇沢駅までの長い長い帰路につく。
見事な雲海の上は、薄曇りの空の下に稜線が素晴らしく見渡せる。
爺ヶ岳はアップダウンが続き、全くもってペースが上がらないが、ひたすらに山と向き合いながら足を動かす。
帰りは爺ヶ岳のピークは巻いて行く。
斜面に作られた登山道から、切り立った斜面を見下ろすとそのスケールに毎回感動する。
ガシガシとハイマツ帯を歩いていたら、5メートル先くらいからガサガサと音がして雷鳥が2羽飛び立った。
そしてすぐそばのハイマツ帯に降りた。
この斜面に写っているはず(笑)
諦めていた雷鳥にも会えてテンションアップ⤴️
雲海が堰き止められずに冷池山荘のあたりから溢れ出ていた。
爺ヶ岳南峰を巻くとやっと種池山荘までの下り道。
ああ。私は下りが好き。
予想より早く10時30分ころ種池山荘まで下りて来ることが出来た。
ベンチで腰を下ろし、お手洗いを拝借し菓子パンを補給する。
柏原新道を登って来た登山者が嘆く声に耳を向けると、
「今日のピザは枚数終了だってー⤵︎」
え、早い。私も一日遅かったら食べられてなかったわ😆
10時50分休憩を終えて最後の長い斜面を下る。
割とすぐに雲海に突入し、あたりは驚きの白さ。
昨日とは違う表情の山道を歩けてよかった。
コースタイム2時間30分。
なかなか辿り着かない長い道のりだったが、
13時06分無事登山口に到着出来た。
しかしここから扇沢駅までの緩やかな登り坂が、この2日間の中で一番しんどかったのでは?と思う(笑)
13時20分ヒイヒイ言いながら扇沢駅到着。
予定より1時間早い13時30分のバスに乗り、
大町温泉郷で下車し薬師の湯へ。
バス停すぐそばでとても良い温泉だった。
1時間ほどゆっくり汗を流し、14時55分発の長野駅行きバスに乗り、
17時04分発の長野新幹線でリッチに帰宅したのであった。
追伸。
と、昨年登った時の写真を振り返って見たら
写ってましたねー🎶
特徴的な双耳峰。
憧れが現実になり、最初は悶々としていた今回の登山だったが、
素晴らしい山の経験が全部吸い取ってくれ、下山した頃にはすっかり憑き物も落ちたようで、
また仲間と登りたいな、と思ったのであった。