テント泊登山の出来る時期もだんだんと少なくなってきた。
紅葉にはまだ少しだけ早いこの時期、私は友人と憧れの燕岳へ出掛けた。
久しぶりに晴れマークの付いた週末だったが、私たちは日にちをずらし(笑)、
日月という日程を組んだ。
朝5時、茨城から友人が迎えに来てくれ、出発。なんとか渋滞の始まる前に東京を脱出することが出来、9月過ぎに登山口のある中房温泉郷に到着。
燕岳と言えば、その人気の高さから駐車場はいつも満車で、前夜から車中泊をする人も多いという。
だが、私たちは、下山してきた人たちとの入れ替わりを狙うことにしていた。
予想通り満車の駐車場で支度をしながら待つこと約20分。
パラパラと下山してくる人たちが現れた。
スムーズに車を停めることが出来、一安心。
しかし、駐車場付近の路駐状況は悲惨この上なく、車幅のある車が路肩の削れた道幅の狭い場所に停められているために、
その奥の駐車スペースから車が出せないという方がいた。
その方は金土で登り、下山してきたらこの状況で、なんと丸1日足止めをくらっていたそう。
本当にお気の毒だった。
さて、駐車場から車道を登り中房温泉登山口で最終的な準備をする。
晴れ渡った空に木漏れ日がくっきりと映し出され、山はキラキラとしていた。
山小屋前で下山者がそれぞれくつろいでいる中、大きな荷物を背負った女2人、斜面に取り付く。
最初から、急な斜面をジグザグと登る。
すぐに体は温まり、汗が顎から滴る。
昨日の混雑を思わせる数の下山者とすれ違いながら
約1時間で第一ベンチ到着。
このコース唯一の水場で水を確保する。
20メートルくらいの斜面を降りたところにある水場は、まさに水が湧き出ているところだった。
口の狭い水筒などに補給する場合は、他にカップなどを良用意して汲みかえた方がいいかもしれない。
冷たい水に手を凍らせながら、代わり番こに水をすくってなんとかプラティパスに汲むことができた。
さあ、引き続き第2ベンチを目指して進む。
途中ガーっという音に目を向けると、この先合戦小屋まで続いている荷揚げ用のケーブルが動き始めた。
丁度第2ベンチでリュックを降ろしたところで空中をドラム缶が運ばれて行った。
ここまでいいペースで来ている。
引き続き第3ベンチを目指す。
足元が花崗岩らしくなってきた。
深くえぐられたオレンジ色の道を黙々と登る。
比較的すぐに第3ベンチに到着。
そろそろお腹もすいてきたが、頑張って富士見ベンチまで進むことにすることにした。
まるでろうそくのロウのような半透明な花崗岩の砂をシャリシャリと踏みしめながら、富士見ベンチ到着。
少しコースタイムをオーバーしたかもしれない。
しかしここでしっかりランチタイムを取り、いつもの通りカップラーメンを食べる。
ここでサプライズ。
友人の山友達が山頂から下りて来てバッタリ遭遇。
こんなことってあるんだなー、と驚きつつ、食べ残したおつまみなどをもらって(笑)私たちは山頂を目指した。
明らかに空が近くなり、ところどころ眺望も開けてきた。
看板に励まされ、合戦小屋に到着。
お手洗い休憩を取り、このタイミングで食べるスイカは美味しいんたろうな、と思いを馳せた(笑)。
さあ、目的地燕山荘まであと90分。
力を振り絞って最後の尾根に取り付く。
左手に見えるのは大天上岳。老眼の私には山小屋までハッキリ見える(笑)。
そして顔をのぞかせているあのフォルムは、
槍ヶ岳!
北アルプスに来たことを実感してするロケーションだった。
燕岳と燕山荘の見えるベンチのある広場に到着。
最後の登りの前にストレッチ(笑)。
この場所で寝てしまいたい(笑)
(しかし幕営禁止の看板あり(笑))
小屋までの稜線をアップダウンしながら進むのかと思いきや、
優しい巻道を辿って燕山荘到着。
時刻は午後3時半過ぎ。急いでチェックインをし、
天気予報からだーれもいないテント場に重いザックを転がしたまま、
空身で燕岳山頂を目指す。
あの、憧れの美しい山容を目前に、思わず走り出してしまう(笑)
噂通り狭い山頂到着!
先ほど偶然出会った友人から引き継いだみかんを食す。
冷えていて美味しい。
さっきまであんなに明るかった空が、いつの間にか雲に覆われ始めている。
天気予報はあたってしまうのか?
しかし、私たちには、今夜の晩餐という楽しみが待っている。
浮き足立つ気持ちを抑えながらテント場に戻った。
続く