ついにこの日がやって来た。
休みの合う人がいなかったので、自分と向き合うために向かったのは、奥多摩の鷹ノ巣山。
私の中で苦手意識にまみれた苦しい思い出の場所である。
2015年の7月下旬に初めて挑戦したが、山頂に着いたら思わず倒れ込んでしまうほど消耗したのだった。
中野駅からホリデー快速奥多摩1号に乗る。結構な混雑具合。
そう、今日はとても天気が良い。
奥多摩駅からのバスの時間に合わせた出発だったのだが、奥多摩駅に着いたらバンバン臨時便が出ていた(^^;
駅前に埋め尽くす登山者を慌ただしく飲み込んでバスはスタート。
そして半分以上の登山者が川乗橋で降りていく。
いつか私もこのアプローチからアタックして、人気の秘密を知る必要があるだろう。
30分近くバスに揺られ、土日終点の東日原で下車。
お手洗いをすませるとすぐに臨時便が到着。
今日の登山道は賑やかそう。
午前9時10分、身支度を整えて登山口へ向かう
。
すぐに現れる駐在所で、登山届を提出。
登山口の手前にある湧水で、家から持ってきた水道水を1リットル分入れ替える。
それにしてもいい天気!
稲村岩がよく見える。
民家の横に作られた登山道を川に向かって下っていく。
板が張り替えられた新しい橋を越える。
まずは稲村岩を目指して登るが、
沢沿いの道が気持ちよく、シャッターが止まらない。
ここからでもすでに斜面をつづらで上がって行くので、かなりの汗をかいている。
そして稲村岩に到着。
ここは一応登れるそうだが、自分のこれからの消耗具合を考え、休憩だけにする。
さあ、ここからが奥多摩三大急登と言われる稲村尾根の始まりだ。
ここから見上げる山道は覚えている。
急がすに休まずに、足を進める。
同じようなつづらの道が延々と続く。
たまにこんな景色に出会うと嬉しい。
途中まで、追いつ追われつしていた人たちがいたが、
稲村岩から1時間もすると、すっかり置いていかれてしまった💦
最初は30分まで歩きつつけられたが、
そのうち、その間隔がどんどん狭くなっていく。
「休まずに休まずに!」
しかし、足が前に出ない。
歩幅を狭め、なるべく歩みを止めないようにしても、
周りの景色も全く変わらず、距離などを示す道標もないので、地図と高度計で位置を確認していても、こんなに辛いものか、と思った。
吐く息に苦しい声が混ざる。
すると、
やっと唯一の中継場所
“ヒルメシクイノタワ”にたどり着いた!
あー!
ここまで来たらあと30分!
山頂までやっと目安が出来た。
よかった。これ以上遠かったら、本気で山登りを嫌いになるところだった(笑)
時刻は12時を回っていた。
これまでの自分のペースから、 目標の12時30分登頂は無理、だと思っていたが、
目標達成を目指して、最後のひと登りを絞り出す。
すると、山頂近くの山肌にはヤシオツツジが。
そして!
この苦しみからやっと解放され
12時30分、山頂到着!
はあー!
やっぱり倒れこみたい!
しかし、山頂は多くの方がランチを楽しんでいたので、速やかに私もイスを出してランチの支度。
いやあ、汗をいっぱいかいたので吸い込みもよろしい(笑)
山で食べるトマトもたまらなく旨い。
鷹ノ巣山の山頂は広く、今まで樹林帯の中だった鬱憤を一気に晴らしてくれるような眺望だ。
しかし富士山には出会えず残念。
標高1700メートルを越えると、空気はひんやり。
長居は無用とばかり、ランチを終えると石尾根を奥多摩駅目指して13時下山開始。
これから歩いて行く方向には、アカヤシオが花盛り。
前回は六つ石山から奥多摩湖に向けて下山し、バスで駅まで戻ったが、
今回は奥多摩駅まで歩くので、足早に進む。
六つ石山まで、こんなに遠かったかなあ?
もう少し早く(近く)着いたら、六つ石山山頂も踏みたかったけれど、この段階で2時を回っていたので、立ち寄らずに進む。
見覚えのある、大岳山のシルエットに心落ち着く。
がれた長い下り道を慎重に進む。
まだまだ標高1000メートルある。
先は長い。
ここで、三ノ木戸林道への分岐点に到着。
ここの道標はどちらも奥多摩駅を指しているので、迷うところだが、
ここは直進して山道を進む方が面白いと思う。
石尾根という名前が腑に落ちる道。
こういった道になると、だいぶ下ってきたな、と思う。
地図に載っている祠を通り、
集落の跡地を過ぎると、
石尾根の終点。
しかしまだまだ奥多摩駅ははるかに下。
車道を縫うように下って行く。
しかし、なんとか目標の4時には駅にたどり着かかとができそうだったので、
奥多摩駅のオアシス、スーパーオガワヤで乾杯ビールを購入し、
ドロドロに疲れ切った風態で駅にたどり着いた。
すると駅前広場でイベントが行われており、お洒落な方々が優雅に生ビールなど飲んでいる。
自分がとても場違いだった(笑)
汗にまみれた服を着替え、出発を待つ電車に滑り込む。
なんとか一つだけ空いていた座席に座り、
深く深呼吸して密かに乾杯をしたのであった、
鷹ノ巣山…。
この山を心から楽しむ日は、来るのだろうか。
永遠に乗り越えられない気がする山である。